イギリスがデザイナーにとって起業しやすい国である3つの理由

こんにちは!世界をめぐるWebクリエイターNao(@nao_tips)です。
今年の5月にイギリスで初めて自分のブランドを立ち上げてから約半年が経ちました。

時間が経つのは早いもので、着実に1歩1歩前に進んで来れたと思っています。

曲がりなりにもイギリスでブランドを立ち上げてみて、「この国はデザイナーにとってなんて起業のしやすい国なんだろう」と思えました。

今回はイギリスがいかにデザイナーにとって起業がしやすい国か、私が気づいた3つのポイントをお話しします。

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イギリスではデザインはビジネスだ

「イギリスではデザインはビジネスだ」

これが私がイギリスのデザインシーンについて強く思う点です。
そして一番好きな点でもあります。

「デザインはビジネス」という言葉には二つの意味があります。

クライアント側からみた

「デザインは技術であり、それによって利益を生み出すもの。だから対価もきちっと払うべき」

という意味と、

デザイナー側からみた

「デザインはビジネスだ。だからお金を生まなければならない」

という点です。

クライアント側からみた対価云々の話は日本にいた時からよく聞いていた話ですが、

(日本ではデザインの価値が理解されていないからデザイナーは安月給で遅くまで働くけど、欧米ではデザイナーといえば納期もゆっくり取れてお給料も良い、とかそういう話)

私がイギリスに住んでみてすごいなぁと思ったのは、後者の《デザイナー側からみた「デザインはビジネス」》の方です。

日本だと「デザイナー」とか「アーティスト」というと、ビジネスには無頓着でただただ美しいものを追求する人、、、的なイメージがありますよね。職人というか。

「いいものさえ作っていれば、誰も気づいてくれずともよい。」みたいな。

あるいは

「いいものさえ作っていれば、勝手に売れるはず。」みたいな。

むしろ

「デザイナーやアーティストがビジネスしてるとか、ちょっとガッカリ…。」

「そんな日常的なものをアートの世界に取り込まないで」

みたいな、そんな雰囲気さえある気がします。

そこが全く違います。

オリジナルブランドを立ち上げていて、雑誌とかにも取り上げられてるデザイナーが、

「デザインの売り込み方5つのポイント」とかのブログを書いていたりするのです。

ex) 5 Things I Wish I’d Known When I Started My Business(私が自分のビジネスを始めた時に知っていればよかったと思う5つのこと)-Kim Lawler Creative

イラストレーターが自分の作品づくりの合間にイラストを教えるクラスを開いています。

それもネットで集客してます。
ex) Design Garden Classes

アーティストがエージェンシーに登録して自分をPRしています。
プレスリリースも出稿します。

クリエイティブ系の人もしっかり自分を売り込むのです。

デザインビジネス関連企業の幅広さ

前述でアーティストやデザイナーが自分をしっかり売り込む話をしましたが、

それをサポートする企業、産業が充実しています。

例えばアーティスト専門のPR会社。

年単位で契約し、アーティストがビッグになるお手伝いをします。

具体的には、商品のPR用写真撮影会を開いたり、有名雑誌とコネクションを持ち、登録アーティストの作品を推薦したり、展示会出展へのアドバイスをしたりします。
ex) SEEN PR

また、アーティストサポート専門のセミナー会社。

メンバーになるとアーティストとして成功するためのコンサルやトレーニング、ウェブ上のセミナーなどが受けられます。ビジネススクールなども開いているようです。
ex) The Design Trust
↑ちなみにこちらのThe Design Trustはとてもためになる情報をブログで配信してくれています。

例えばこんな記事など。
TOP 5 TIPS TO SELL YOUR CRAFTS ONLINE SUCCESSFULLY

それから、Directoryという商品データベースの存在。

お金を出すと自分の作品、商品をデータベースに登録してくれ、そのデータベースはデパートや小売業のオーナーがみれるようになっています。

卸企業みたいなものですね。

ただ、販売までやってくれるおろし企業と違って、データベースなので、

契約などの連絡は直接のやり取りになることが多いと思います。

どのくらい効果があるかはわかりませんが、簡単に登録することで露出を増やせる手段があるのはいいなと思います。
ex) CRAFTS COUNCIL ONLINE CRAFT DIRECTORY

これらは有料のものが多いですが、Meetupなどでは無料のセミナーやサポートもたくさんあり、

Directoryに変わるものでは無料のオンラインポートフォリオサイトなどもあります。
ex) ARTSTHREAD

また大学の卒業生サポートなどでも、就活サポートだけではなく、起業サポートも充実しています。

スタートアップ向けの露出の場が多い

また、イギリスでは日本に比べてスタートアップの新人デザイナー向けの発表の場が多いように感じます。

例えば、クリエイター専門のマーケットが毎週開かれていたり、ポップアップショップが頻繁に開かれたりしています。
ex) Spitalfields Market
ex) We Are Pop Up

トレードショーに出展するには莫大なお金も作品数も必要だし、チャンスも一年に1回ぐらいですが、マーケットやポップアップショップなら小さなブースから思い立ってすぐにでも始められます。

こういったポップアップやマーケットは1回限りのイベントではなく、ポップアップ会社やマーケットが定期的に運営しています。

定期的なマーケットの何がいいかというと、毎週出展することでだんだんブランドが知られてきて、信用度も上がってきます。

日本でクリエイターの発表の場というと

  • クリエイティブ系フリマ
  • デザフェス
  • 100%デザイン
  • ミッドタウンデザインフェス
  • その他各種トレードショー

ぐらいしか思い浮かばないのですが、

デザフェスと100%デザインの間に差がありすぎるし、

クリエイターズのフリマはどうしても趣味の延長感が拭えないかなぁという気がしています。

日本のクリエイターズフリマって、手作りのものを安くで買えるイメージがないですか?

私はありました。

それって買う方は嬉しいけど、売る方にとってはそんなのでビジネスとして成り立つのか、と思うわけです。
(※2017年2月22日追記:最近はネット内のハンドメイドマーケットなどの進出で、個人のクリエイターがビジネスをしていける場が増えたように思います!)

その他

その他にもイギリスではデザイナーやアーティストにいろいろなチャンスが開かれている気がします。

一つ例を挙げると、ロンドンの老舗デパート、リバティは

約一年に1回名の無いデザイナーが自分の商品を

直接リバティのバイヤーに売り込むことができるイベントを開いています。

普通はバイヤーが展示会に行くものなので逆転の発想で面白いですね。

※2018年1月追記:
2018年もLiberty Open Callが開催されることが発表されました!
2017年は開催なしだったので、デザイナー待望の開催です!

記事を書いた頃は誰でも参加可能だったのですが、最近はあまりにも応募が多いため事前審査が導入されていたようです。

さらに2018年は新しい形の試みで、instagramでの応募となり、一般の方の投票も交えて決まるそうです。

流れとしては、

・instagramへ投稿
・その中から数点バイヤーによって選ばれる
・選ばれたリストの中から一般投票
・投票が終わった後、バイヤーが最終決定
・5月のロンドン・クラフト・ウィークで発表

ということで、今年はバイヤーへの直接売り込みはないようです。

それにしても、リバティのような老舗でも時流に乗った施策をすぐに取れるのは

とてもイギリスらしいと思います。

詳細はこちら(英語)

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終わりに

いかがでしたでしょうか。

とにかくイギリスに住んでいて感じるのは、「自分のビジネスがやりやすい!」ということです。

上記でご紹介したような制度の部分もそうですが、気持ちの上でもそうです。

こっちで起業してる人って、「え、そんなレベルでもいいの?!」みたいな人もいっぱいいます。

「それZazzle(ビスタプリントみたいなやつ)で作ったでしょ?」みたいなものを売っている人もいます。

それでも起業してるって言っていいし、ちゃんと生活も出来てるんだなぁと思うと、自分もやっていけそうな気がするのです笑。

以上、イギリスでデザイナーとして起業することについて思うことでした!

参考になったら幸いです。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    早稲田大学卒業後、代官山のデザイン事務所にもちこみをしてデザイナーのキャリアをはじめる。その後20代後半でロンドンの美大セントマーチンズに社会人留学。約10年間グラフィック&Webの仕事を続けており、趣味はネットショッピングというWEB大好き人間。 【主な仕事】 WEBの制作・運営/Nao Creativeの商品企画・制作 提供中のメニューはこちら